生成AI普及でデータセンター投資が急拡大
株式会社インプレスは、新産業調査レポート『データセンター調査報告書2026[動き出したAIインフラサービス]』を1月29日(木)に発売しました。生成AIの普及とクラウドサービスの継続的な需要の高まりに後押しされ、データセンター市場は力強い成長を維持しており、国内でも数千億円規模の巨額投資計画が相次いで発表されています。
主要なハイパースケーラー各社はAI需要に応じて設備投資計画を軒並み引き上げており、特に高性能GPUサーバーの出荷は今後も大きく成長すると予想されています。
AIデータセンターの電力需要が2.6倍に急増
今回の報告書で最も注目すべき調査結果は、AIデータセンターの電力供給容量の急激な拡大予測です。
具体的な数値と将来予測
- 2025年末時点でのAIデータセンターにおけるIT供給電力量は、合計約300MWと推計
- 2026年末にはAIデータセンターにおけるIT供給電力容量が2025年末比で倍増し、約600MWになると予測
- 2027年末には約780MWに達する見込み(2年間で約2.6倍の拡大)
特に、シャープ堺工場跡地で大規模なAI専用データセンターが開設されることから、IT供給電力容量は大きく増加する予定です。
企業のGPU/HPCサーバー利用意向
生成AIなどに利用されるGPUサーバーや高速な計算・解析を行うHPCサーバーなどの高発熱・高排熱サーバーや高負荷サーバーの利用状況について、調査では以下の結果が判明しました:
- 「すでに利用している」が12.6%
- 「今後利用したい」が17.1%、「利用を検討中」が22.5%で、両者を合わせた利用に前向きな層は前年度調査から4.4ポイント増の39.6%
- 利用中から検討中まで含めて、調査対象者の半数超が利用に興味を持っている状況
企業・経営者にとっての戦略的意味
このデータセンター市場の急拡大は、企業のデジタル変革(DX)戦略に直接的な影響を与えています。
新たなビジネス機会の創出
データセンター事業者はAI対応に迫られており、GPUサーバーやHPCサーバーなどの安定稼働を提供する「高発熱サーバー対応サービス」、LLMの開発やAIサービス提供、AI利用に使用する計算リソースを提供する「AIクラウドサービス」のどちらも拡大している状況です。
従来のビル型データセンターでは対応困難な高負荷処理需要に対し、コンテナ・モジュール型のAI専用データセンターも数を増やしている状況が確認されています。
投資戦略への影響
企業経営者にとって重要なのは、IT投資戦略の見直しです。売り上げ規模が大きい企業ほど利用率も利用意向も高い傾向があることから、競争力維持のための積極的なAIインフラ投資が必要となっています。
消費者・生活者への影響
AIサービスの身近な普及
データセンター容量の拡大により、一般消費者向けのAIサービスがより高性能化・多様化していくと予測されます。ChatGPTのような生成AIサービスの応答速度向上や、新たなAI機能搭載アプリケーションの登場が期待されています。
電力消費と環境への配慮
一方で、国際エネルギー機関(IEA)が公表した報告書「Energy and AI」によると、2026年には世界のデータセンターの電力消費量が2022年と比較して2.2倍の1,000T(テラ)Whに拡大すると試算されている状況です。これは日本の年間総電力消費量に匹敵する規模であり、電力料金や環境負荷への影響が懸念されます。
国際比較:日本の立ち位置と課題
日米のAIインフラ投資格差
米国における2025年のAIインフラ投資は、大手クラウド企業やOpenAIなど含めて67.5兆円規模(4500億ドル)と考えられている。それに対して、日本では4000億円(26.7億ドル)を多少超える程度と予測されている状況です。
つまり、日米のGDP(国民総生産)の差が約7倍なのに対して、AIインフラ投資額の差は2025年で約170倍と、それよりはるかに大きいことが判明しています。
日本の追い上げ戦略
今後、日本での投資は2026年に8000億円、2027年に1兆円弱、2028~2029年には1.2兆円超といったように急速に増えていくと予想はされているものの、米国との差は依然として大きい状況です。
グローバル市場の展望
米国の調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイツによると、世界のデータセンター市場規模は2024年の2427億米ドル(約36.4兆円)から2032年には2.4倍の5848億米ドル(約87.7兆円)に拡大すると予測されている状況です。
今後の展望と注目ポイント
技術革新への対応
その一方で、カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーへの取り組みも加速している状況であり、環境負荷軽減と性能向上の両立が重要な課題となっています。
地域分散戦略
NTT(9432)やソフトバンク(9434)では、データセンターの全国分散構想を推進している。具体的にはデータセンターを地方に分散して設置し、データセンター間を超高速ネットワークでつなぐというものです。これにより災害リスクの分散と電力負荷の軽減を図る計画です。
AIエージェント市場の本格化
2026年はAIエージェントが、日本のIT企業にとって本格的な追い風になりそうです。特定領域向けのAIエージェントであれば「日本の商習慣を知る日本企業が国内市場では優位」とされており、国内企業の競争力向上が期待されています。
まとめ
今回の調査報告書から明らかになった主なポイントは以下の通りです:
- 電力需要の急拡大:AIデータセンターのIT供給電力容量が今後2年で2.6倍に拡大
- 企業需要の高まり:GPU/HPCサーバーの利用意向が企業の5割超に達している
- 国際競争の激化:日米のAIインフラ投資格差は約170倍と大きな差が存在
データセンター市場の急成長は、AI技術の普及と表裏一体の関係にあります。企業は戦略的なIT投資により競争力を維持し、同時に環境負荷軽減への取り組みも求められる転換期を迎えています。
参考情報
- 株式会社インプレスホールディングス プレスリリース
- インプレス「データセンター調査報告書2026」- クラウド Watch
- AIデータセンターが急増 - インプレス総合研究所
- 北米AIインフラ投資動向 - NEC Wisdom
- AIデータセンター関連銘柄 - ダイヤモンドZAi
著者プロフィール
伊東雄歩(いとうゆうほ) / ゆぽゆぽ
株式会社ウォーカー代表取締役 / MENSA会員 / NLPマスタープラクティショナー
IQ130超のADHD経営者。「社会不適合」ゆえに会社員を2年で挫折し、フリーランスを経由せずいきなり起業。訴訟4回、2000万円の損失、役員の裏切り、オフショア開発の地獄を乗り越え10年生き残る。心理学・教育学に1000万円投資し、独自の「成長力学」を確立。現在は生成AI教育に注力し、「3年を2日に変える」AIプログラミング2Daysキャンプを全国展開中。AIフレンズコミュニティを運営。
夢は「世界征服」——世界の常識を変え、新しい価値観を提示すること。
