通信業界に新たな転換点、mineoがauとフルMVNOで歴史を刻む
オプテージは2026年1月27日、携帯電話サービス「mineo」において、国内初となるauとのデータ通信・音声/SMS通信に対応したフルMVNO事業に参入すると発表した。事業開始時期は2027年度下期を予定している。この発表は、日本の通信業界において新たなマイルストーンを築く画期的な出来事といえるだろう。
これまで多くのMVNO事業者はMNOに依存する「ライトMVNO」として事業を展開してきたなか、mineoはユーザー同士でパケットを分け合う仕組みなど、独自サービスを打ち出してきた。今回のフルMVNO参入により、同社の革新的なサービス提供能力がさらに飛躍的に向上することが期待される。
フルMVNOとは何か?従来のMVNOとの決定的違い
フルMVNOとは、移動体通信のコアネットワークの一部を自社で保有して運用することにより、SIMカードやeSIMを提供できる事業者である。明確な定義はありませんが、コアネットワークの中でも加入者管理機能(HLR/HSS)を自ら運用している事業者をフルMVNOと呼ぶことが多くなっている。
従来のライトMVNOとの主な違いは以下の通りである:
- 自社でSIMカードやeSIMを提供することができる
- ひとつのホストMNO以外のMNOとも事業者間接続ができる
- 契約オペレーションの柔軟性が実現できる
- ネットワークの柔軟性により海外事業者との直接接続が可能
- 自由なSIMの形状でeSIMなどの多様なサービス提供が可能
具体的なサービス内容と技術的な革新
オプテージは今後、音声フルMVNO事業者として、データ通信や音声/SMS通信の自社設備提供や電話番号の管理、SIMやeSIMの自社発行を行なう。加入者管理装置(独自SIMおよび電話番号の管理)、データ交換機、音声/SMS交換機を自社保有することで、mineoはこれまで主軸としてきたデータ通信に加え、音声/SMS通信のサービスを自ら制御できるようになる。
提供予定のサービスには以下が含まれる:
- 利用スタイルに応じた通話プランや「かけ放題メニュー」
- eSIMを含む多様なSIMラインアップの展開
- 海外ローミングサービス
- 法人向けIoTを視野に入れた付加価値の高い通信サービス
技術的基盤の構築
同社では、SIMの提供機能や音声、SMS交換機、加入者管理装置などを自社保有し、基地局以外を自社管理にする。これら「通信の中核機能」を自社で管理できるようになることで、SIMや電話番号を自社で管理でき、より柔軟なサービスを展開できるようになる。
ビジネス視点:企業・経営者にとっての意味
松本氏は、現状の137万回線とmineoの売上高である280億円の規模について、フルMVNOや「MVNO Operation Kit」を含めて、売上高を2倍に近いスケールに持っていきたいと目標を語った。この野心的な成長戦略は、単なるサービス拡張を超えた事業モデルの根本的変革を示している。
「MVNO Operation Kit」は、通信事業者だけでなく、通信を本業としない異業種企業がモバイルビジネスの展開にあたって必要となるシステムやノウハウを提供する。モバイル事業参入にあたり、サービス設計の自由度が高い「フルカスタマイズ型」のものを導入する場合、その初期投資は数千万円レベルの投資が必要になるというが、「MVNO Operation Kit」では、資本が少ない企業でも初期投資を抑えて自由度の高いサービスを提供できるようになる。
松田氏はMVNO事業者は増加傾向にあると指摘。2024年度末時点で1991社となり、2022年から2024年の2年間で259社増加している。この市場拡大トレンドをmineoが先導する形となりそうだ。
消費者・生活者への影響
従来のライトMVNOでは困難だった柔軟な音声通話サービスの設計が可能となり、利用スタイルに応じた通話プランや「かけ放題メニュー」などを開発できるようになる。消費者にとって最も重要な変化は、これまで以上に個人のニーズに合わせたカスタマイズされたサービスを受けられるようになることだ。
eSIMを含む多様なSIMのラインアップ展開や、海外ローミングサービスの提供により、海外旅行時の通信費削減や利便性向上が期待される。特に、「今月は使わないから通信を切断する」といったように、一時休止期間を設けることも可能になるため、使わない月の料金負担を軽減できる革新的な料金体系が実現する可能性がある。
業界における位置づけと競合状況
国内では、IIJ(インターネットイニシアティブ)が2018年からドコモ回線を用いたデータ通信対応のフルMVNOサービスを法人やIoTデバイスに向けて提供している。この他、ソラコムはau回線、丸紅ネットワークはドコモ回線でフルMVNOサービスを提供しており、これら2社の合弁会社であるミソラコネクトがドコモ回線でのフルMVNOサービスを提供している。
mineoの独自性は、au回線を用いたデータ通信・音声・SMS通信に対応したフルMVNO事業への参入は国内で初めての事例である点にある。2026年11月には、日本通信がドコモ回線の音声通話に対応したフルMVNOサービスの提供を予定している中、mineoはau回線での音声対応により差別化を図っている。
フルMVNOのメリットとデメリット
メリット
- 一つのMNOだけでなく複数のMNOの無線通信回線網を利用できるようになる
- 加入者管理機能(HLR/HSS)を自社で運用するフルMVNOでは、SIMの状態を自由に設定できる
- ネットワークを使うSIMの情報さえHLR/HSSに登録できれば物理的なSIMは他社のものでも問題ない
- 独自にSIMベンダーから調達したSIMカードを発行できる
デメリット
- フルMVNOは設備投資や管理のコストが高くなるため、事業者の負担も大きくなる
- ネットワークエンジニアなどの技術者が保守・運用を行う必要があり、従来のライトMVNOに比べ管理コストもかかる
- フルMVNOといえども、ホストMNOの設備の影響を大なり小なり受けることは避けられない
今後の展望と注目ポイント
今回はau回線を用いているが、国内では初となる、マルチキャリアによる音声フルMVNO事業の展開も視野に入れている。今回のauとの音声フルMVNO事業への参入は、将来的なマルチキャリアによる音声フルMVNO事業展開に向けた第一歩となるものである。
IoT市場への展開も重要なポイントだ。IoT・5G市場での活用メリットが大きいため、各市場が成長するのに伴って、フルMVNOのサービスが増えていくことが期待できる。2022年には、インターネットとつながるIoT機器が、世界でおよそ39億台に達するという予測もあり、巨大なビジネスチャンスが待ち受けている。
まとめ
mineoのau回線を使った音声フルMVNO事業参入は、以下の3つの重要なポイントで注目される:
- 国内初の画期的サービス:au回線での音声・SMS対応フルMVNOは国内初の取り組み
- 消費者利益の向上:柔軟な料金プラン、海外ローミング、eSIM対応など従来不可能だったサービスを実現
- 業界全体の変革:異業種のMVNO参入支援により通信業界のエコシステム拡大に貢献
2027年度下期のサービス開始に向け、通信業界の新たな時代の幕開けを告げる歴史的な一歩として、業界内外から大きな注目を集めることは間違いない。
参考情報
- mineoがauネットワーク使用しフルMVNO化 2027年下期事業開始へ|BUSINESS NETWORK
- mineo、au回線を利用したフルMVNO事業参入 国内初 - Impress Watch
- mineo、国内初となるauとのデータ通信・音声/SMS通信に対応したフルMVNO事業に参入 | 株式会社オプテージのプレスリリース
- mineo、au回線の「音声フルMVNO」事業に参入 2027年度下期から マルチキャリアも視野に - ITmedia Mobile
- mineo、au回線の「音声フルMVNO」へ2027年度参入――異業種のモバイル事業参入を支援する「MVNO Operation Kit」も発表 - ケータイ Watch
- フルMVNOとは? MVNOとの違いやメリットなど | freebit IoT通信
- フルMVNOとは?MVNOとの違いやIoT・5Gとの関係性を解説
著者プロフィール
伊東雄歩(いとうゆうほ) / ゆぽゆぽ
株式会社ウォーカー代表取締役 / MENSA会員 / NLPマスタープラクティショナー
IQ130超のADHD経営者。「社会不適合」ゆえに会社員を2年で挫折し、フリーランスを経由せずいきなり起業。訴訟4回、2000万円の損失、役員の裏切り、オフショア開発の地獄を乗り越え10年生き残る。心理学・教育学に1000万円投資し、独自の「成長力学」を確立。現在は生成AI教育に注力し、「3年を2日に変える」AIプログラミング2Daysキャンプを全国展開中。AIフレンズコミュニティを運営。
夢は「世界征服」——世界の常識を変え、新しい価値観を提示すること。
