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Third Intelligence、資金調達100億円に到達!松尾豊教授参画の日本発AGI開発企業が注目される理由

AI研究開発企業のThird Intelligence(石橋準也CEO、松尾豊氏参画)が初の資金調達ラウンドで総額100億円を達成。2026年1月29日に三井住友信託銀行、しずおかフィナンシャルグループから20億円を追加調達し、2025年11月の80億円と合わせて100億円に到達。日本発「遍在型AGI」の確立を目指す。

AI研究開発企業である、株式会社Third Intelligence(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:石橋 準也)は、2026年1月29日、三井住友信託銀行としずおかフィナンシャルグループを引受先とする、20億円の第三者割当増資を新たに実施したことを発表した。これにより、2025年11月発表のファーストクローズと合わせ、初のラウンドでの資金調達額は総額100億円に到達した。

この発表は日本のAI業界に大きな注目を集めている。なぜなら、Third Intelligenceは東京大学の松尾豊教授が率いる松尾研究所からスピンアウトしたスタートアップであり、利用者のもとで独自に学習し成長する「遍在型AGI(汎用人工知能)」の確立を目指すという、これまでにない革新的なアプローチを取っているためだ。

Third Intelligenceの特徴的な「遍在型AGI」とは

同社が開発を進める「遍在型AGI」は従来のAI開発とは一線を画すコンセプトである。遍在型AGIは共通の基盤を持つAIを利用者自身が目的に応じて学習させる設計で、個人が自分専用のAIを持つ構想が特徴となっている。

この技術開発の背景には重要な課題認識がある。基盤モデルの開発が一部の海外企業に集中する現状がある。海外依存が続く場合、利用制限や技術アクセスの不確実性が生じ、国内産業にとってリスクが高まると同社は指摘している。

創業メンバーと会社概要

Third Intelligenceは東京大学の松尾豊教授が率いる松尾研究所からスピンアウトしたスタートアップで、2025年3月に設立された。CEO の石橋準也氏は2023年3月にマッチングアプリ「Pairs」を運営するエウレカの代表取締役 CEO を退任後、知人の紹介から松尾研究所のプロジェクトを手伝うようになったという経緯がある。

現在、Third Intelligence で活動しているメンバーは業務委託などを含めて50名弱で、その半数が AI 研究者もしくは AI 開発者だ。AI 研究者・開発者の大半は松尾研究所出身のメンバーだという

資金調達の詳細と投資家構成

今回の100億円調達は2段階で実施された。まず2025年11月に三菱 UFJ 銀行をリード投資家として、三井住友銀行、SBI グループ、博報堂 DY ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資により、総額80億円の資金調達を実施。続いて2026年1月29日、三井住友信託銀行としずおかフィナンシャルグループを引受先とする、20億円の第三者割当増資を新たに実施した。

投資家構成について、石橋氏は「我々の AI は研究開発段階にあり、まだ確立されたものではありません。長期的に支援していただくことを前提とした出資であること、そしてチケットサイズが非常に大きいということで、金融機関が中心になりました」と説明している。

ビジネス視点:企業・経営者にとっての意味

Third Intelligenceの事例は日本企業にとって重要な示唆を与えている。特定の会社や店舗、施設内など利用する場面を限定し、その中での業務に必要なデータを学習させ、社内のシステムにアクセスする権限を与えるAIエージェントの需要が高まる中で、汎用のAIで海外大手に勝つのは難しいが、特定領域向けのAIエージェントであれば「日本の商習慣を知る日本企業が国内市場では優位」との分析もある。

経理など各種業務支援SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)にAIエージェント機能を付ければ利便性が向上し、「需要拡大や単価上昇に効く」とされており、企業にとってAI導入は競争力維持のための必須要素となりつつある。

消費者・生活者への影響

「遍在型AGI」が実現すれば、消費者にとって個人専用のAIアシスタントを持つことが可能になる。プロダクトのリリースは2026年中を見込んでいるとのことで、比較的近い将来にその恩恵を享受できる可能性が高い。

個人が自分専用のAIを持つことで、学習内容や嗜好に合わせた高度にパーソナライズされたサービスが受けられるようになると期待される。

専門家の見解:AGI実現への道筋

AGI(汎用人工知能)の実現時期については様々な見解がある。OpenAIのサム・アルトマンCEOが「2025年には汎用人工知能(AGI)が実現する」との予測を示した一方で、AnthropicのCEOであるダリオ・アモデイ氏は2026年から2027年の間に、人間が行えるあらゆる作業をAIがこなす段階に到達する可能性があると主張している。

ただし慎重な見方もあり、スタンフォード大学のジェームズ・ランデイ氏は、「2026年にAGI(汎用人工知能)は実現しない」と予測するなど、専門家の間でも意見が分かれている状況だ。

国際比較:海外での同様の動き

世界のAI市場規模は2026年の3,759.3億ドルから2034年には24,800.5億ドルまで成長すると予測されており、年平均成長率は26.60%という驚異的なペースである。

各国がAIプロバイダーや米国の政治システムからの独立を示そうとする動きが強まる中で、日本発のAGI開発は戦略的な意味を持つ。2025年には世界中で大規模データセンターへの投資が見られたが、2026年もそのトレンドは継続する見込みだという。

今後の展望:予測される影響と注目ポイント

2026年はAIが、日本のIT企業にとって本格的な追い風になりそうとされている。特にAIサービス企業の利益の本格的な増加が始まると専門家は予測している。

Third Intelligenceの成功は、日本のAI業界全体にとって重要な転換点となる可能性がある。同社は今回の調達資金を主に研究開発と人材採用に充当し、人材への集中投資を軸とした世界水準の研究開発環境整備を進める方針だ。

「例えば OpenAI はモデルとプロダクトの両方を公開していますが、我々はプロダクトに集中します。AI を実装したプロダクトでビジネスとして勝っていくことを考えています」という石橋氏の発言からは、明確な差別化戦略が見て取れる。

まとめ

  • 総額100億円の大型調達:Third Intelligenceが初回ラウンドで実現した100億円調達は、日本のAIスタートアップとしては異例の規模
  • 独自の「遍在型AGI」コンセプト:個人が専用AIを持つという革新的なアプローチで海外大手との差別化を図る
  • 2026年が転換点:AGI実現に向けた競争が激化する中、日本発の技術として大きな期待を集める

参考情報


著者プロフィール

伊東雄歩(いとうゆうほ) / ゆぽゆぽ

株式会社ウォーカー代表取締役 / MENSA会員 / NLPマスタープラクティショナー

IQ130超のADHD経営者。「社会不適合」ゆえに会社員を2年で挫折し、フリーランスを経由せずいきなり起業。訴訟4回、2000万円の損失、役員の裏切り、オフショア開発の地獄を乗り越え10年生き残る。心理学・教育学に1000万円投資し、独自の「成長力学」を確立。現在は生成AI教育に注力し、「3年を2日に変える」AIプログラミング2Daysキャンプを全国展開中。AIフレンズコミュニティを運営。

夢は「世界征服」——世界の常識を変え、新しい価値観を提示すること。

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